11人が本棚に入れています
本棚に追加
言われたように耳を塞いだが、男達の悲鳴が聞こえてきたのは言うまでもない。
悲鳴が止んで、ユキナは涼しい顔で出てきた。
「アイ。車を取ってくるから待っていてくれ。」
「はい。」
闘技場の外はとても静かだった。先程の喧騒が嘘のようだ。
街灯の下でアイは佇むようにユキナを待つ。
すると、
「あれー。女の子が1人でこんな所で何してるの?」
どうやら面倒な連中らしい。
3人の男だ。
「1人ではありません。」
アイはきっぱりと言い返す。
「いや。1人じゃん。」
男はニヤつきながらアイに近付く。
「今 連れが車を取りに行っていて、待ってるんです。」
「連れって男ー?」
「いえ。女性です。」
「なら、その連れの女の子も一緒に飲みに行かない?」
そう言ってアイの手首を掴む。
「離してください。」
アイは抵抗したが、力が違う。
「良いじゃん。行こうよ。」
男は嫌な笑顔で掴む力を弱めない。
その時、ユキナが車を走らせて止めた。
1度 車を降りて、
「アイ。何を遊んでいる。早く乗れ。」
男達の存在は完全無視だ。
「ちょっと。俺ら無視かよ。」
男達は面白くなさそうだ。
「興味ない。」
ユキナは短く言い放つ。
「そりゃ、ないんじゃない?」
「一緒に飲みに行こうよ。」
再びユキナはため息をついた。
「アイ。3分で終わらせてくれ。」
そう言って車の運転席に乗り込む。
男達が一瞬ポカンとしたのをアイは見逃さなかった。
最初のコメントを投稿しよう!