恋とは耐えるものである。

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「は~、やぁっと終わった!」 グッと大きく伸びをした弾みで、座っていた椅子の背もたれがギッと擦れた音をこぼす。 資料をまとめるだけの作業に、思っていた以上の時間がかかってしまった。 今日の結果を書き足したせいで時間はとられたけれど、それでも満足が行く資料に仕上がった筈だ。 「もう九時過ぎ!うわ~、帰ろっ」 壁にかけられた時計に目を配った後、私は慌てて自分の荷物を鞄詰める。 お腹も減ったし、商談の疲れも色濃く残っている。 今日はもうあれだね、コンビニのお弁当だな。 一人暮らしのリズムはかなり出来て来たけれど、やっぱりこんな風に忙しい日はお店で売っている物で済ませてしまう事が多い。 料理は好きだけど、自分一人の為に頑張って作る気力は到底なかった。 鞄に荷物を全て詰め終わった時、フロアの扉が勢い良く開く。 多分営業回りから帰って来た社員だろうと視線を向けると、入って来た人物が誰か気付いた瞬間ドキリと心臓が高鳴る。 あ。 仁科君。
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