恋とは耐えるものである。

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「食べてこうよ」 そう言われて断る事も出来ず、二人で私の家に近い場所にある居酒屋に来ていた。 ここを選んでくれたのは私がすぐに帰れるようにとの仁科君の配慮だ。 こういう所、本当に男らしいと思う。 そして相変わらず胸をキュンキュンさせている自分、ちょっと落ち着こうか。 「明日も仕事だから飲み過ぎんなよ?」 「うん、仁科君もね」 カウンター席に並んで座りながら、私は近くに置いてあったメニューを手に取る。 このお店には何度も来ているのである程度注文する物は決まっていた。 けれどやっぱり一通りメニューに目を通したくなるのは女子特有なのかもしれない。 「んーと……えっと…………たらこスパゲティと、」 「ぶふっ」 「…………なによ?」 私の言葉を聞くや否や盛大に吹き出した仁科君に、ジロリと睨みを利かせて見せる。 「くく……だって毎回じゃん?メニュー見た所で結局同じもの頼むし。見る必要ないだろもう」 そう言いながらクスクスと笑う仁科君に、頬を熱くしながら私はわざと大袈裟に拗ねて見せた。 だって。 そうでもしないと胸のキュンキュンがハンパない。 なんでそんなに格好良く笑うかな? ちょっと笑顔自重して欲しい真剣に。
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