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「いいの!メニュー見るのが好きなの、これが癒しになるんだよ」
「癒しねぇ……お前の行動のが癒しだってマジで」
「っ、」
不意に出たお褒めの言葉に、更に全身がカッカと体温を上昇させる。
いや、お褒めの言葉かどうかよく分からないけれど、私にしたら爆弾を投下されたようなものだこれ。
癒しとか。
癒し、とか。
癒し……っとかあああぁ……!
「馬鹿にするんじゃありませんっ。お母さんそんな子に育てた覚えありませんよっ」
そう言って冗談にでもしないと、こんな空気耐えられない。
ああ、見ないでよ。
ほら、目まで合わせらんなくなっちゃったじゃない。
「いつから俺の母親なったの」
あははと笑う声すら甘く響き、とうとう耐えられなくなった私はすかさず店員さんを呼び止めた。
「すみませーん、注文お願いします」
「あ?ちょっと待て、俺まだ何も決めてないって!」
「仁科君よ。男なら即決でしょーが」
「お前の発想が男前すぎんだよっ」
慌ててメニューに目を通す仁科君も、結局はよく頼む焼き鳥の盛り合わせやらを注文していた。
「……んだよ。お前が急かすからだからな?」
じっとりと横目を向ける私に、不貞腐れた顔の仁科君が言い返して来る。
そんな姿に再度キュンと来た事はもう言うまでもないだろう。
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