恋とは耐えるものである。

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咲子がいない、仁科君と二人だけのご飯。 ただただ単純に、嬉しい。 そして。 後ろめたい。 「真尋ってさ、咲子と性格全然違うっぽいけど、男らしいとこは似てるよな」 大部分を食べ終えた仁科君は、ビール片手に思い出したように会話を続ける。 「そう、かな?」 「ん。どっちかっていうと、真尋のが男らしいかも」 「…………そうかな」 それはあれですよね、褒め言葉ではない、ですよね。 女性なら、女らしい女性に憧れる人は多いと思う。 私だってそういう綺麗な大和撫子的な人に憧れている。 それをあれだ、男らしいとかさ。 いや、間違ってないだけに胸に詰まるものがあるんですが? 「あ、悪い意味で言ってねぇよ?全然。俺サバサバした奴の方が好きだし」 ………………。 その好きがどんな意味の好きなのか。 それを瞬時に考え、出た結論は「友人の好き」。 これが妥当だ。 恋愛の好きに持って行くには難しすぎる。 「ふーん、そうだね。私は男らしくバッサバッサと切り捨てて行く人間だもんね?ふーん」 「おいおい拗ねんなよっ、悪い意味じゃないって言ってるだろ?」 「はいはいはい、どーせ咲子の方が女らしいですよ。分かってます、咲子がどうしてモテるかも。あのね、言っとくけどね、私の方が仁科君より咲子の事好きなんだからね?」 あ。 流れでつい出てしまった言葉に、固まる私を前に仁科君の顔がキョトンと固まってしまう。
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