恋とは耐えるものである。

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しまった、と思ったけれどどうやら大丈夫だったみたい。 目を丸くしていた仁科君はすぐに表情を崩し、私の言葉を軽い友達の好きだと捉えてくれたようだ。 「お前が咲子を好きな事は分かってるって」 「う、ん。そうだよ。咲子大好きだからねっ」 ホッと安堵したところで、次に出た仁科君の言葉に私はまた身を硬直させる事になる。 「てか、それじゃまるで俺が咲子の事好きみたいじゃんか」 小さく笑いながら言う彼の隣で、私は何とも言えない表情をしてしまった。 別にこんなのサラリと交わせば良かったのに。 いつもみたいに慌てる事なく、あははって笑って流せば良かった。 なのに私は馬鹿みたいに顔を引き攣らせ、開き掛けた口のまま言葉をつっかえさせてしまう。 「…………………………え?」 私の顔を見た仁科君は一瞬真顔に戻り、何かを確認するような声で一言吐き出す。 「……え?」 それを同じように返してしまう私は今、じわりじわりと鼓動が早くなって行くのを全身で感じていた。 身体が変に熱くなり、手のひらがしっとりと汗ばんで来る。 あれ? 私こんなに嘘吐くのが下手だった?
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