恋とは見守るものである。

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数十分後。 「一言も話した事ないくせにさ、なんで付き合おうとか言えるかね!?ねぇ、真尋!」 会社近くの居酒屋に、一匹の悪魔が降臨していた。 「結局顔だけじゃん!ふざけんじゃねーっつーのよ!」 皆さん、もうお分かりかと思われます。 ええ、ええ。この咲子さん、猫被りの天才なんです。 同期で入社した私達だけど、初めて会ったあの時はそれはもう彼女が女神に見えた。 綺麗な容姿に加えて柔らかい声に物腰。 同じ性を受けて育ったとは思えない彼女の存在に、「女神降臨!!」と友達へすかさずラインしたのを覚えている。 そんな彼女が本性を暴露したのは、初めて個人的に飲みに行った席だ。 いや、ぶっちゃけ驚きましたよ。 毒は吐きまくるわ口は悪いは、そこにお酒が入ると更に凶暴化するわ、で。 「女神もとい、悪魔降臨!!」と友達に打ち直した過去もある。 でも、本当の彼女を見て、知って。 気が付けば私は更に彼女に惹かれていた。 ありのままの自分を曝け出した相手には決して嘘をつかない彼女は信頼に値し。 言い辛い事も躊躇わずに伝えてくれる彼女に何度も救われた。 気が付けば彼女は私の中でやっぱり女神のままで、こんなに素敵な女性はきっと彼女以外にいないと断言出来る。 「あ~ムカつく!真尋!今日は朝まで飲むからね!?付き合わないと……あんたの恥ずかしい写真お局にバラしてやるんだから!」 …………まぁ、相当酒癖が悪い女神だけれども。
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