恋とは驚くものである。

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仁科君の反応なんて見れない。 ただでさえ私の隣に座るというイレギュラーが発生しているのに、いつもより近い位置にいる仁科君を私が見返せると思う? 無理。出来っこない。 だって絶対に格好良いし、絶対に全身が熱くなるし、それに絶対罪悪感が募る。 もしかしたら咲子は自分の隣に座らなかったという事実に傷付いているかもしれない。とか。 ……待って、私大袈裟すぎる?? ああもう、ホントやめて。訳が分からないってば! 「なぁーんか意識がハッキリしてる内に家に帰るのって久し振り」 そう言いながら、店を出た咲子は夜空に向かって大きく伸びをする。 結局二人は私の提案に賛成してくれた。というか、主に仁科君が。 帰った方が良いと言った私の意見に「はあ?」となった咲子だけど、そこへ仁科君までもが「それが良いかもな。今日は潰れる前に帰るか。な?」なんて同意しちゃうもんだから、多数決により早い時間のお開きとなってしまった。 ごめん、咲子。 もっと飲みたかったよね? ていうか仁科君、一体何を考えてるんだろう。 私の意見に賛成とか。 そう思ったけれど、その答えはすぐに出て来た。 「今日は咲子も歩けるみたいだし。俺、真尋を送ってくよ」 そうそう、私を送ってくよって。うん。私を、送って…………おく、 ーーーーーーーーーーーーーーーはい!?
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