第5章

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太陽の紅炎のような無造作ヘアは、相変わらずだった。 「あ、はい、俺っす」 クラスメイトの近藤くんが、手を挙げる。 「塾の宿題だよね」 「はい、お願いします」 窓際の席の近藤くんへ、先輩は歩み寄る。 途中、ふと、私と先輩の目が合ってしまった。 一瞬彼が固まるのを、私は見逃さなかった。 私がこのクラスだということを、彼は忘れていたのだろう。 思いがけない対面に、お互い凍りついた。
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