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“先輩のことを、総て教えてください”
そんな依頼を、下駄箱ポストに入れた。
そうして、私たちは、放課後の屋上に並んで座っている。
空は、押しつぶされそうな曇天で、まるで私のこころにも圧をかけているようだった。
好きに、なっては、いけない――これ以上。
“どこから話せばいいかな?”
先輩は最初にそう言って、しばし、考えて、口を開いた。
「親父が、行方不明になってから、うちの家計は火の車だったんだ」
いつもとはトーンが違う。太陽のように明るい先輩のいつもの口調は、雲に遮られている。
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