第6章

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「んで、バイト始めた。それが、“なんでも屋”――以前はコイン1枚とかじゃなくて、それに見合った対価をもらっていたけれど」 私は相槌を入れる。小さな声になってしまっている。 「それで、ちょうどこの学院で歴史資料館の資料整理を行っている時だったんだ。理事長の娘――かのこさんと出会ったのは」 「そう、なんです、か……」 「バイトのバイト……友だちが急に行けなくなって、始めたバイトなんだけどね」 身体から、力という力がなくなっていく。 脱力、とはこういうことなのだろう、と、私は生まれて初めての経験 をしていた。
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