3【館】

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その廃屋に車で到着した時、既に空はうっすらと夕焼け色に染まっていた。 「うひーっ!こりゃ凄い風だな!」 吉岡が声をあげた。 車から降りた途端! 物凄い強風が私と吉岡を襲ったのだ。 「本当だな!海が目の前だからかな」 私も目を細めた。 ここはこの島の西の端…海鳥の飛来地だ。 時々、「クワァークワァー!」とか「ギャアギャア!」とか鳥の甲高い鳴き声が辺りに響いた。 私と吉岡は、 目の前にそびえ建つ目的の廃屋…『元・織田山研究所』の外観を見て、その不気味さに思わず息を飲んだ。 そこには、二階建てで箱型の…どこか、廃病院を思わせる重苦しくさびれた感じの建物が建っていた。 かつては、白を基調とした清潔感に溢れた建物だったのだろうという事は想像できたが、 今は海辺の強い潮風によって急速に風化が進んでいるのか、 壁のあちこちにヒビが走り、赤錆の様な汚れがこびり付いていた。 周囲の草は、人の手が入っていないので伸び放題…相当の荒れようだった。 「よし…じゃあ行くぞ」 私は、少し気合いを入れた。 「よ、よし!」 吉岡も気合いを入れている様だ。 建物に近付き、正面玄関の扉に手をかけると、 『ギイッ』と音がして重々しく開いた。 私達が中に入ると、まず広い大部屋が目の前に現れた。 壁沿いに二つロッカーが並んで立っており、ドアが半開きになってた。 床の上には無数のガラスの破片やら木片やらが散らばっている。 ほとんどの窓ガラスが割れていて時折、外の強風が室内にひゅうひゅうと吹き込んで来ていた。 外観のみならず、建物の内部も相当の荒れようだった。
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