3【館】

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と… 『ギッ…』 私の耳が…その音を捕らえた。 「おい、沢村?どうした?」 「シッ!黙って!」 私は、神経を集中させた。 『ギッ…』 やっぱり、聞こえる! 本当に小さな音だが… よくよく耳を澄ますと、確かに聞こえる! これの音源は…一体、どこだ? 私は、周囲を見回した。 そして! 私の目は、ある一点に釘付けになった! そこは、その部屋の奥の隅の天井であった。 その天井には、通気か何かに使うのであろう鉄パイプが数本渡してあるのだが… そのうちの一本に… 一本の太いロープが結び付けられ、下にぶら下がっていた。 そして、 そのロープの先には、 少し大きな『輪』が作られ、窓からの強風に揺れていた。 しかし… そのロープ… 『ただ、そこにぶら下がっている』のではなく… ロープも、その先の輪も 下に向かって、『ぴん』と張っていたのである! まるで… 姿の見えない透明人間が そのロープで首吊り自殺をして、風に揺れているかの様に…。 「ああーっ!!」 私の視線の先を目で追ったのであろう、吉岡もそのロープに気付いたらしく、これまでにないほどの大声をあげた! とっ!! 『ガタン!!』 部屋の外で何かがぶつかったような音がした! 「今度は、何の音だっ!」 私が急いで部屋の外に出てみた! す、すると! な、何と!廊下に! 『人の形をした白いモヤの様な物』が一体! ぼぉーっと、突っ立っていたのである!! そのモヤは、輪郭がぼんやりとした霊の様な存在ではなく、 明らかにはっきりとした実体を持っていた。 ただ、その体の向こう側は、透けて見えている。 「ええーっ!!」 私より少し遅れて部屋から出て来た吉岡もそれを見て再び、大絶叫した。 そのモヤは! 突然! ダッと廊下を走って立ち去ろうとした! 「お、おい!待てっ!」 私は、全速力で追いかけた!! そして!声をかけた!!
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