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と…
『ギッ…』
私の耳が…その音を捕らえた。
「おい、沢村?どうした?」
「シッ!黙って!」
私は、神経を集中させた。
『ギッ…』
やっぱり、聞こえる!
本当に小さな音だが…
よくよく耳を澄ますと、確かに聞こえる!
これの音源は…一体、どこだ?
私は、周囲を見回した。
そして!
私の目は、ある一点に釘付けになった!
そこは、その部屋の奥の隅の天井であった。
その天井には、通気か何かに使うのであろう鉄パイプが数本渡してあるのだが…
そのうちの一本に…
一本の太いロープが結び付けられ、下にぶら下がっていた。
そして、
そのロープの先には、
少し大きな『輪』が作られ、窓からの強風に揺れていた。
しかし…
そのロープ…
『ただ、そこにぶら下がっている』のではなく…
ロープも、その先の輪も
下に向かって、『ぴん』と張っていたのである!
まるで…
姿の見えない透明人間が
そのロープで首吊り自殺をして、風に揺れているかの様に…。
「ああーっ!!」
私の視線の先を目で追ったのであろう、吉岡もそのロープに気付いたらしく、これまでにないほどの大声をあげた!
とっ!!
『ガタン!!』
部屋の外で何かがぶつかったような音がした!
「今度は、何の音だっ!」
私が急いで部屋の外に出てみた!
す、すると!
な、何と!廊下に!
『人の形をした白いモヤの様な物』が一体!
ぼぉーっと、突っ立っていたのである!!
そのモヤは、輪郭がぼんやりとした霊の様な存在ではなく、
明らかにはっきりとした実体を持っていた。
ただ、その体の向こう側は、透けて見えている。
「ええーっ!!」
私より少し遅れて部屋から出て来た吉岡もそれを見て再び、大絶叫した。
そのモヤは!
突然!
ダッと廊下を走って立ち去ろうとした!
「お、おい!待てっ!」
私は、全速力で追いかけた!!
そして!声をかけた!!
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