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さて。
それから二日後…。
私と吉岡は、その『透明人間の館』が建っているという島…歓楽島にフェリーで向かい、昼過ぎには船着き場に降り立っていた。
空は、雲一つ無い晴天である。
事前に調べた所によると、この島は全体が『歓楽村』という一つの村になっていて、島民のほとんどが漁業で生計を立てている。
と、言っても島民が住んでいるのは島の東側半分の地域で、
もう一方の西側半分は誰も住んでいない無人の地域だ。
西側の海岸沿いは海鳥の飛来地である事が確認されているが、残りはただ雑草が生い茂る土地である。
で…例の透明人間の館『元・織田山研究所』は、その島の無人エリア、西側の崖っぷちに建っているとの事だった。
交通手段は車でしか行けない。
「よし。沢村。
まずは、情報収集と行こうじゃないか」
吉岡が地元の島民達にいろいろと話を聞いて回り始めた。
小さな島の事…話を聞いた島民達全員が、
その廃屋の存在を知っていた。
しかし、そこでされていたであろう研究の内容に関しては、皆一様に「よく知らない」と首を横に振った。
まあ、中には
「実は、透明人間の研究がされていたかもしれないって噂が有るんだ」
と、ヒソヒソ声で話す島民も何人かいた。
そして、その廃屋に肝試しに行ったという若者達何人かにも話を聞く事ができた。
と、ここで私と吉岡は『ある発見』をする事になる。
と、言うのも…
あの廃屋の事を『透明人間の館』と呼ぶ若者もいるには、いるのだが…
彼らの中には『幽霊の館』と呼ぶ若者も数名いたのである。
そして、肝試しで行った時に『見たモノ』や『聞いたオト』の内容がそれぞれ違っていたのだ。
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