0人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし1階まで下りたところで、2台の車が停まっていることに気付いた。車高の低い銀色のセダン。ボンネットには黒の大きなウィトルウィウス的人体図。左半分が骨になっている。ILHENのマークだった。車内にはスーツにサングラスの大男が一人ずつ。二人の姿に気づき、車を降りてくる。
「こっちだ」
霊弐がなるべく冷静に言って、少女の手を握ったまま宛てもなく道路に走り出ようとした時だった。赤く染まりかけた桜の木のアーチの中から、一台の深紅のSUVが現れた。
「乗れ!」
霊弐と少女の前にSUVは停まり、窓から金髪の女が叫ぶ。霊弐は少女の手を引き、SUVの重たいドアを開けた。二人が乗り込むとSUVは後輪をスリップさせながら走り出す。
最初のコメントを投稿しよう!