第一章「カウンセラー」

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『お選びになってくださいませ。 それこそが、貴女の求める真理でございます』 なにを言っているのだろう。 そもそも、突如現れたこのヒトはなんなのだろうか。 そんな頭にあるべき疑問は、文字に惹かて動いた唇に先を越されてしまった。 「慈悲の降る… 定理を」 『かしこまりました。 貴女には、そのココロを授けましょう』 即答されたが、彼女の言葉は理解できなかった。 《ココロ》とは何かしらの物の例えなのだろうか、それとも《心》の概念を説くのだろうか。 いずれにせよ、願ったものではなさそうだ。 そんな落胆を顔に浮かべながら、一礼するナースさんを観やる… 不意にその姿がゆがんだ。
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