0人が本棚に入れています
本棚に追加
ほう、と一息ついてから、あらためてきり出してみた。
「あの、さっきのはなんなんですか?」
コーヒーを口に運び、再び受け皿にカップを戻すほど間をあけて、マスターは答えた。
「みな口々に、ナースを見た、と。
問いかけは決まって、三択の理。
悩みを持った者が訪れるたびに、彼女は姿を見せるようでね。
君みたいに彼女に会う人は少ないが確かにいる。
実を言うと、僕は見かけたこともないのだけれど。
ここをはじめて20年と経つが、僕には心当たりもなくてね」
目を細め、昔語りをするような口ぶりでマスターは続ける。
「彼女が選択させるのは、正しい答えじゃなく、きっと君がそれを見つけ出せるためのキッカケにすぎない。
今まで彼女がそうしてきたように、君も自分の存在理由を知り、そして全うできるはずさ」
最初のコメントを投稿しよう!