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金子君の案内で寮を目指す。
さっきからもう10分は歩いてるけど着かない。
「やっぱり二人は外部だったんだ。噂で聞いてたんだ、双子の外部生」
「え、噂とかあったの?」
「だって1000人受験して5人しか受からない特待生枠を双子で取るんだよ。噂にはなるでしょ」
確かに受験会場の人の多さに俺はダメだと思ったよ。
「陸が居なかったら俺はここには居なかった。筆記で落ちてたわ」
「佐山兄は頭良いの?」
「…陸で良い」
佐山兄って呼び方気に入らなかったのね。
もしかして俺は佐山弟呼びだったのか。
「俺も岳で良いよ」
「分かった」
「陸は頭良いんだよ。東大の試験問題とかやっちゃうし、この前は海外の大学のしてたよね。俺には全く分かんなかったけど」
そう、陸は頭がすこぶる良い。飛び級とやらも出来る頭を持っているのにしない。
自分は受験勉強なんてせずに俺に付きっきりで勉強を教えてくれた。
それでも受かっちゃうんです、お兄様。
「陸すげぇんだな。試験勉強の時お願いしちゃおっかな」
「俺が先なんだからな、金田君」
「金子だし!」
「覚えるの苦手なんだよ」
「岳はバカだからな」
そんな他愛のない話をしていたら目の前に巨大な建物が見えてきた。
なんだ、このキラキラ輝いている建物は。
「到着!!ここが寮だよ」
「ここホテルだろ」
「…………………」
さすがの陸も無言で寮?!?を眺めている。
「ここが寮監室。すいませーん」
金子君を寮監室のドアをドンドコ叩く。
金子君もうちょっとソフトに叩いた方が良いんじゃないかな。
すると中からドタドタ音がし、ドアが空いた。
「うるせぇなぁ!!騒がしいんだよ」
中から出てきたライオンみたいな髪の毛をした男。こわっ!!
「外部生連れて来たんだけど」
「た、た、た、たろキュン」
た、た、た、たろキュンとは何だろう?陸を見てもさぁと言った顔をする。
「早く鍵くれない」
「たろキュン冷たい」
しょんぼりするライオン男。それにしても金子君の事をたろキュン…
ライオン男は鍵を俺達に渡してくれた。
「陸、岳行くよ」
「たろキュン!!」
「あ、ありがとうございました~」
金子君が無視して行くので一応お礼を言って俺達も金子君の後に続いた。
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