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「大丈夫?椎名ちん」
「大丈夫だよ、ありがとうね」
思わず照れ笑いを浮かべながらそう言うと、対して向井はムスッとした表情で私の手からプリントを奪っていった。
「あんま気にすんな?」
気の抜けた笑みでそうフォローしてくれる。
だからモテるんだ、この人は。
何だか得したような気分で頷くと、次の授業を知らせる鐘が鳴った。
私は授業をよそに誰をのぞき見てやろうかと早速考え始めた。
見るなら絶対に放課後だ。
放課後の教室なんて話し声がとどまることなんてない。普段は見られないものも、自分がいないからこそ話していることもあるかもしれない。
怖いもの見たさも少しある、けれど小瓶があるんだから使わない手はない。
盗み聞きが堂々と出来るなんてものすごく恐くて、ものすごく楽しみだ。
私はそわそわとしながら放課後になるのを待った。
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