好奇心で

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「椎名は馬鹿でもブスでもない。それはお前だ」 低めの声で向井がそう言い放った。 普段はこんな事言ってくれないのに。 教室だと真逆なのに、私がいないだけでこんなにも違うなんて。 「…呆れたものだな。品の無いクズは嫌いだ。」 そう吐き捨てて向井は鞄を持って扉に向かう。 今から帰るなんて、多分先生の手伝いでもしていたんだろう。 「向井ー、そんなに椎名の事ブスって呼ぶの嫌なのかよ。もしかして好きとか?」 最後の最後まで品の無い男だ。 今日を持って佐々木は私の格好良い男子ランク最下位へと落ち込んだ。 「だったら何だ?」 バタン、と勢い良く扉が閉まり向井が教室から出て行った。 教室は静まり返っていた。 叫びたい。叫んでしまいたい。 (あれで好かれたの?!) 分からない。向井がますます分からない。 いわゆるツンデレとか言うやつなのか?いやいや、なんか思ってたツンデレと違うぞ。 でも私がいない時にこうも守られても、本当だったら知らないままだ。 佐々木が良い奴で、向井が嫌な奴。 そんなつまらない世界で見ていたなんて、どうにもやるせない。 一面だけじゃ、分からないんだ。
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