好奇心で

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私は小瓶を開けてしまった。 家に帰り、自分の部屋でまじまじと見つめる。 いかにもあやしい男にもらったものを飲んで大丈夫なんだろうか。 そんな事を考えながらも思考がこの小瓶への好奇心で埋め尽くされてしまう。 私がいない、いるべきではない空間で一体何が起きているのか見てみたい。 そう、例えば同じクラスの向井。 あの男はシルバーフレームの眼鏡をかけて、一度も染色していないだろう黒髪。頭は良いが、いつも私を馬鹿にしてくる嫌味な男だ。 あいつの普段の姿はどうなんだろう。 ああ、あとは友人二人の会話も気になる。普段は三人でいるからといっても、それはずっとじゃない。それにあの二人は家も近いし、帰る時は二人の時間の方が長いだろう。一体何を話しているんだろうか。 私がいるからこそ出来ない会話。私だから決して覗けないもの。 いざ見られると分かったら、こんなにも好奇心がわき立ち、下世話な事ばかりが気になるのだ。
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