~片思い~

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
オレにはずっと好きな人がいる。 隣の女子高のアカネちゃんだ。 長い黒髪がサラサラしていて、走ると髪が波打つ。 つい手を伸ばしたくなってしまうんだ。 名前は、彼女と同じ中学だった奴に聞いた。 通学途中でアカネちゃんを見ると胸アツになる。 ついつい目で追ってしまう。 でも、心配ごとがひとつある。 おとといあたりから、アカネちゃんは友達とつるまなくなった。 友達にも自分から話しかけることはなく、グループの後ろからついていってる感じ。 いじめられてるのか? 大丈夫かな。 でも彼女は1ミリも不安そうな顔は見せず、 友達の後ろをニコニコとついていく。 その笑顔を見ると、取りこし苦労かなと思うんだけどね。 僕は、そんなアカネちゃんのあとを、つい追いかけてしまう。 ストーカーみたい? そうかもしれない。 アブナイ奴? いや、みんなオレの立場になったら、そうすると思うよ。 だってオレは透明人間だから。 誰だって、透明人間になったら、好きな女の子のあとを追いかけるだろう。 覗き? いや、そんな下品なことはしないよ。 だって、俺は彼女に告白するんだから。 オレはもう元に戻れない透明人間なんだ。 なぜかというと 死んでるから。 アカネちゃんに告白できずに成仏なんてできねえよって暴れたら、神様がチャンスをくれたんだ。 オレのカラダはまだ家にある。 両親が葬式までの間、側にいてくれている。 今夜はお通夜で、明日は葬式。 そしてオレは灰となる。 だからそれまでの間に告白しなくちゃいけないんだ。 透明のお前がどうやって告白するかって。 わかんねえよ。 でも何かできることがあるかもしれないじゃん。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!