~振り向いた彼女~

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オレは女子高の正門前でアカネちゃんを待っていた。 次々と女子高生が目の前を通り過ぎていくが、オレに気付く女子はいない。 当たり前だ、オレのこと見えるわけがないから。 ゆえに変な男が校門前にいると怪しまれることもないわけ。 アカネちゃんが正門にひとりで現れた。 オレは彼女のあとをついていく。 どうやって伝えよう。 紙とペンで告白メッセージを書くこともできないし。 あ、そういえばオレ、透明人間になってから声を発してない。 透明人間の声は、聞こえるのか? よし!試してみよう。 「アカネちゃん!」 声は出た。けど、聞こえてる? アカネちゃんが立ち止まった。聞こえたオレの声? マジで、マジマジ? アカネちゃんは振り向いて、オレの前に来た。 そしてオレを見上げて、目と目があった。 なんで、なんで?目が合う。 オレ、透明人間じゃなかったっけ? 「ねえ、私のこと、ずっとつけていたでしょ。おとといあたりから、学校にも入ってきたでしょう」 アカネちゃんに言われた。 なんでオレのこと知ってるの? 見えてるの? オレは自分のカラダを見た。 自分ではボンヤリ見えるけど、このボンヤリ感は透明人間の証……じゃないの? 「ごめん。でもオレ、君の家までは行ってないから。トイレや風呂や着替えを覗いたりしていないから!」 オレは慌てた。想定外だよ、こんなこと! 「知ってるよ」 アカネちゃんは体を右左に揺らして、オレを見上げた。 かわいい~。大きな黒い瞳がキラキラしている。 マジ天使! オレの声が聞こえるのなら、てか、オレの姿も見えるのなら、告白するなら今しかない! 「アカネちゃん、オレ、実はキミのことが」 と言いかけたとき 「よかった~、透明人間の仲間がいて」 とアカネちゃん。 は? 今なんつった??? 「私ね、死んだの」
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