はじまり

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これは彼女 市橋花梨に恋をした俺 結城歩の話。 「市橋さん、それ持つよ」 「・・・」 彼女はいつもこんな調子。 それでも俺は彼女に構ってもらおうと必死だった。 「それ重いよね」 「・・・」 彼女が持つ大きな箱の中には、次の授業で使われる資料が積み重なって入っていた。 「持つから貸して」 そう言って半ば強引に彼女から箱を奪った。 手が空いた彼女は小さくため息をつくと、来た道を戻っていった。 「どこ行くの?次の授業こっち・・・」 「・・・教室に鞄、取りに行く」
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