18人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
少し先の信号で立ち止まる彼女は何故かこちらを見ていた。
しかし俺と目があうとすぐにそらし、点滅する信号を急いで渡った。
「行っちゃった。綺麗な人ですね」
「うん、すっごく可愛い」
顔が緩んでいるのが自分でも分かる。
西野さんは俺の顔を見て真顔で尋ねてきた。
「好き、なんですか?」
「好きだよ。でも口きいてくれない」
「そうですか・・・私、ここで失礼します」
「西野さん?待って・・・」
呼び止めようと名前を呼んだが反応はなかった。
そのまま彼女は足早に去っていった。
残りの道のりを1人で歩き、教室へ向かう。
市橋さんは先に着いていると思ったが、鞄だけが机に置かれており、彼女の姿はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!