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すると急に体を起こし、俺の腕に自分の腕を絡ませ、そのままの状態で再び小さな寝息を立て始めた。
「俺、この状況ガマンするのか・・・」
触れたい。
手を出したくなる欲を押さえつけ、自制心を保つ。
急に腕への締め付けが緩くなったかと思うと、彼女は薄っすら目を開きながら声を発した。
「ゆ・・・うき、くん?」
「っ・・・」
初めて名前を呼ばれたことに全身が熱くなる。
まだ完全に目が覚めているわけではないのか、焦点が合わない。
しかし彼女は立ち上がり、扉の方へ歩き出す。
フラフラした足取りが危なっかしい。
人の心配をよそに彼女は扉を開き、屋上から去っていった。
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