2章

8/16

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
すると急に体を起こし、俺の腕に自分の腕を絡ませ、そのままの状態で再び小さな寝息を立て始めた。 「俺、この状況ガマンするのか・・・」 触れたい。 手を出したくなる欲を押さえつけ、自制心を保つ。 急に腕への締め付けが緩くなったかと思うと、彼女は薄っすら目を開きながら声を発した。 「ゆ・・・うき、くん?」 「っ・・・」 初めて名前を呼ばれたことに全身が熱くなる。 まだ完全に目が覚めているわけではないのか、焦点が合わない。 しかし彼女は立ち上がり、扉の方へ歩き出す。 フラフラした足取りが危なっかしい。 人の心配をよそに彼女は扉を開き、屋上から去っていった。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加