はじまり

4/7

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
「で、お前はどうしてそんな泣きそうな顔を?嬉し泣き?」 鳴海俊介が机の上に突っ伏した俺を見て苦笑いをする。 「嬉しいけど悲しい」 「意味わかんね。大好きな市橋と話せたんだろ?何を悲しむことがあるんだよ」 「市橋さん、鞄取りに行くって言ったから俺のも持ってきてくれると思ったら・・・」 資料を運び終え、移動先の教室で待っていると、彼女は鞄を持ってやって来た。1つだけ、自分の肩にかけて。 「俺のは?って聞いたら、席知らないからって・・・」 「そりゃあ席知らなかったら鞄もどれか分からないな」 悲しむ俺の横で鳴海は笑い声をあげた。 しかしそれもつかの間、笑い声は止んだ。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加