3章

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遠く離れようとする彼女の手を、その震える手を掴んだ。 「ぁ・・・、ごめ・・・さい」 「市橋さん」 「ごめっ、たたかないで」 俺から逃れようと、もう片方の手で抵抗する。 そんな彼女を俺は両腕で力一杯抱きしめた。 「大丈夫。大丈夫だから、花梨」 名前を呼ぶと彼女は動きを止めた。 焦点が少しずつあってくる。 「・・・結城くん」 やっと正気を取り戻した彼女は、両目いっぱいに涙を浮かべ、腕の中で泣いた。
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