セカンド

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「じゃあ、自己紹介と呼んで欲しいあだ名と質問10個まで答えるってことで」 と男が声を張り上げながら言った。 もう酔っ払っているようなテンションに、遊び慣れている雰囲気がぷんぷんした。 「じゃあ、隣に座っているお姉さんから。」 そう言って、私を覗き込んだ。 「まじで?呼んで欲しいあだ名とかないし、質問多すぎ。」 私は昔からノリは良いほうなので、この男のテンションに合わせたように声を張り上げて言った。 「じゃあ、質問3つにしよ!あだ名は、うーんジャスミンでいこう。」 「なんでよ?」 「顔濃い目で、ディズニーの映画に出てくるジャスミンに似てるから。」 「すごい分かる。」 周りのみんなも満場一致の頷き。 「ジャスミンです。宜しく~。今日は優子先輩の分も私が飲みます。」 「おー、言ったね。いいね~。」 男たちが盛り上がる。 「そうなの、美香強いの。飲んでもらおーう。」 ミナミと優子先輩も被せるように煽った。 こんな調子で自己紹介は続いたが、誰かの自己紹介の途中から色んな話が乱れ飛び、結局よく分からないところで世間話などに移行した。 とりあえず、この左隣の男は、その当時流行っていた「ワイルド」なギャグを持ちネタとする芸人のモノマネがそっくりだった。 なので、あだ名は「スギちゃん」になった。 本名は頭に入って来なかった。
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