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「ジャスミン、もう一杯飲まない?」
へらへらと笑いながらも凄い腕の力で肩を抱き寄せられた。
「えー、明日早いから無理。帰る!」
「ちょっとでいいから。」
「やーだー。うち遠いのよ。」
「ほんとに一杯だけ。まだ、10時半前よ。早くない?」
確かに、早いと言えば早い。
ミナミとは、早めに帰ろうと話してはいたが、もともとお酒が好きな私はもう少し飲んでもいいかという気持ちになった。
「うーん。」
と、唸っていたら、今度は抱きかかえられるように腕を上半身に巻きつけられた。
スギちゃんは体が大きく、私はすっぽりその腕の中に掴まってしまった。
「行こう!大丈夫、少しだから。」
そう言われて、私は犯人が警察に連行されるような状態で引っ張って行かれた。
「ちょっと、もう強引なんだから。」
ぶつくさ文句を言っていると、もはや振り返るのも忘れてしまったような足取りのミナミが人混みの中に見えた。
「私、今来てる電車に乗るから、また明日ね!じゃね~!」
こちらをそんなに見るでもなく、駆けて行ってしまった。
「あ~!行っちゃった!待って私も一緒に帰る!」
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