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「帰り、タクシーチケット宜しくね。」
「そんな権限、俺には無いっすよ~。」
と、にやにやしながら答えてくる。
「ちゃんとしてよね。それから、お洒落なお店じゃなきゃ帰るから。」
普段はあまりこういうことを言うタイプではないのだが、
相手が随分ヘラヘラしているせいか、キツめに言ってしまう。
「わかった、お洒落なとこね。オッケー!」
そう言って、駅のロータリーからタクシーに乗った。
「○○ホテルまで」
渋谷の高級ホテルの名前を運転手に告げると、隣の私を引き寄せてぐいっと抱きしめた。
「ちょっと離してよ。」
腕から逃れようと体を離そうと試みるが、びくともしない。
「いいじゃん、ちょっとだけ~」
「いやだ、ばかなの?」
「うん!」
眼を瞑ったまま、口元をにかっと笑わせた。そしてそのまま勢いよくイビキをかきはじめた。
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