2章

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暖かな日差しが桜並木に差し込み、時折落ちてくる花弁が春を感じさせてくれる。 「もうそんな季節か」 体育館から竹刀を打ち合う賑やかな音と声が聞こえてくる。 不思議なことに昔から剣道を見るのが好きだった。 ただ、なぜか自分がやるのは抵抗があり入部はしたことがない。 校舎に続く並木道から、体育館の中を覗く。 一際目立つ奴が、大きな気合いの掛け声と共に竹刀を降り下ろしたところだった。 衝撃の強さに、試合相手は堪らず転がり倒れる。 「すげぇ…」 今まで見た中で一番強い。数メートル離れたここまで気迫が伝わるようだ。 驚いて呟くと。 座って面を外していた相手がこちらをふいに見た。 瞬間、外はゴオっと風が巻き起こり桜の花弁が狂ったように舞い散る。 目をかばうように前にかざした腕を下ろした時、目の前にそいつがいた。 「あんたさ、どっかで会った?」 「え?」
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