第1章 渡せない手紙

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拝啓、関目歩美様 君がアメリカへ発ってからもう5年になりますね。僕はたまらなく君に会いたいです。 君は今どこにいますか?何をしていますか?元気にしていますか?生きていますか?幸せですか? 君はあの日の事を覚えていますか?君と最後にあったあの夜に交わした約束を。僕はあの約束で救われました。君という存在が失われてく中での唯一の支えでした。君との約束があったからこそ、僕は頑張ってこれました。だけどもう潮時かな。 あの夜、僕が別れ際に「ずっと待ってるから」と言った後、君はもし私が5年経っても約束を果たしに帰ってこなかったら、私の事は忘れてと言いましたよね?僕にはそれはできません。けどもし、あなたが今他に一緒にいて幸せな人がいるのであれば諦めます。そしてあの約束の事は綺麗さっぱり忘れてください。 それから、君がこの手紙を読むことは多分99.9%の確率でないと思うから、僕の本心を全部この手紙に書きたいと思います。 歩美、好きです。大好きです。愛しています。 この言葉を直接君に素直に伝えていたら、僕たちは違う道を進めたのかな?いや、それはないか。僕たちに時間がないのはお互い知ってたもんね。気づかない振りをしていただけで。
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