恥ずかしい思い、について。

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「あの、後ろ」 20歳そこそこの若い女の子が、私の肩を叩く。慌てているようだ。 「え?後ろ」 何事かと振り向くと、彼女はものすごく言いにくそうに、だが意を決したように私をじっと見た。 「スカート、めくれあがってます!」 今度は彼女ではなく、それを聞いた私が慌て始めた。 「え、あ、嘘!?」 ワンピースの後ろを確認する。 裾があるべき太ももの裏に、裾がないではないか。恐る恐る尻のほうへと手を伸ばすとあった、ワンピースの裾が。ということは、めくれあがっていたのだ。ワンピースの裾が。 「ありがとうございます、ありがとうございます」 おしえてくれた、かわいらしい彼女に私は頭を下げた。 「いえいえ」 彼女はニコッとして、去っていった。だがやや複雑な表情でもあった。憐れみがまじっていたような。 そりゃそうだろう、尻全開で歩いている女に「あんた、やっちまったねぇ」 そう思わずにはいられないだろう。 だが、彼女は憐れむだけではなく、勇気を出して私におしえてくれた。年上のおばさんにはきっと、言いずらかっただろう。勇気を出しておしえてくれた彼女に感謝したい。ありがとう。 で、私はいつから尻丸出しだっただろう ?…… 尻が全開丸見えで、私は大都会、目黒駅周辺を歩いていたのだ。 山手線で座ったから、めくれあがったのか?ということは、目黒駅で降り立った後からだろうか……? それともその前に乗っていた電車も座っていたからそのときからか……? え!?もしかして、家からずーーーーー っと?!
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