ねくらちゃん

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だが、まだチャンスはある。 もう一人ティッシュ配りの若い男がいる。 次こそは、次こそは。 落ち着け、水島。 落ち着け、直子。 落ち着くんだ。 さっきは鼻息が荒すぎたかもしれない。 そう思った直子は、 鼻を押さえながら歩いた。 もちろん、鼻息の荒らさをセーブするためだ。 とうとう、二人目のティッシュ配りの若い男の前にやってきた。 ティッシュ、もらえる! 今度こそ。 そう思いガッツポーズしたくなる腕を押さえ、 さりげなく手を伸ばして直子は歩いていた。 もちろん、ティッシュをさりげなくもらうためだ。 しかし、 無情にも若い男は、、、 直子の前を歩いていた、 若い女にティッシュを差し出していた。 若い女が受け取らないのに、 「本日開店でーす」 そう言って笑顔をふりまいている。 うそ うそ うそでしょーーーー! 絶対もらわなければならないティッシュ。 無料ティッシュをもらうことは、 直子の人生にマストなことなのだ。 しかし、 二回もあるチャンスを逃した水島明子。
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