ねくらちゃん

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ここから直子の「ねくらちゃん」っぷりが 発揮されることになる。 ティッシュをもらえず 駅の改札に向かう直子。 その顔はまさに、ブス!だった。 眉間にシワを寄せまくり、 鼻の穴を最大級に広げている。 さっき押さえていた鼻息を もう押さえることなく フゴフゴと出しまくっている。 まるで、 私は今最悪な気分です! と自分とはまったく関係ない他人に 言いふらすかのように、 鼻息はだんだんと大きくなっていった。 どうせ どうせ どうせ どうせ どうせ……。 直子の「どうせ伝説」の幕開けである。 「どうせ」 を口にする回数は、 ギネス記録かもしれない。 「どうせ私は若くないし。 オバサンだから」 「どうせ、茶色とかベージュとか オバサン色着てババくさいし」 外見のババくささだけではない。 「どうせ私はツイてないし」 「どうせ私は欲しいものは 手に入らない運命なんだ」 「どうせいいことなんてないまま、 人生終わっちゃうんだ」 まぁ、出てくる出てくる、 直子の「どうせ」ネタ。 声には出さないものの、 口をボソボソ動かし、かなりの怪しさを、醸し出している 。 女子高生がいぶかしげな視線を向けられていることに直子は気づいた。 「なによ、ちょっと若いからってー!」
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