エピローグ

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「花音さんは、素敵な方ですね。 私と所縁のある方でもありますから、 身内の贔屓目という事ですかね? フフフ。」 と愉快に笑う三島神父。 律子さんは、祖父の後妻、雪乃さんの孫で、と三島神父は前妻の子供だ。 如月の家系は複雑だが、正当な後継者は律子さん。 海外にいる大叔父と、三島神父が兄弟で、三人が如月の血を引き継ぐ者だ。 「花音さんは、如月の深い洞察力というか、人を見る力も、ちゃんとひいてますが、 雪乃さん……義母の慈悲深い所や人を癒す心や、素敵な所もきちんと継いでいますね。 本人は無自覚のようですが……。 でも、とても良いバランスですね。 しなやかで強い女性に成長したのは 薫君が近くにいるおかげかな?」 三島神父と花音は数日前に対面しただけなのに、彼女の事を的確に表現出来ているのは、やはり、如月の為せるワザなのか? 「僕も彼女はとてもしなやかで強い女性だと思います。 でも、僕のおかげかどうかは分かりませんよ? そうだったら嬉しい限りですが。」 なんて謙遜して、言っては見たけど。 自意識過剰かもしれないが、そうかもしれない。 いつも不安定だった十代の花音も、自ら修行と称して海外留学した彼女は人間として大きく成長したと思う。 自分は見守るだけで歯がゆい想いもした事があったけど。 でも、僕の隣に居たいという花音の意志は強かった。 もっとも、支えてもらってたのは、花音がもっと小さい頃からだったけど。 花音はいつも僕の為に動く。 「………、そうですか。 薫君がそう想える伴侶を得られた事を嬉しく感じるよ。 結婚、おめでとう。」 終始穏やかな笑顔の三島神父。 「ありがとうございます。」 僕を見守ってくれた三島神父も歯がゆい想いをした事もあるのだろうか。
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