過去 藍墨色の夜(花音目線)

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薫はポンポンと頭を撫でた。 「ゆっくりでいいよ。 自分の気持ちに正直に。 あまり人と関わる事が苦手な花音が、付き合おうと思った相手でしょ?」 薫の言葉が心にしみていく。 「花音のペースで良いんだよ? 付き合ってフワフワな感じを楽しみたいのなら、それはそれで良いし、 きっと、花音には必要な事だと思うよ。 もっと深く付き合いたいと思える様になったら、 そうすれば良い。 その彼は花音の事を守ってやるって言ったんだろ? じゃあ、きっと花音の心も守ってくれるはずさ。 ちゃんと花音の気持ちを伝えて、お互いが良い関係になれば良いんじゃない?」 薫の意見はすごく真っ当で、正解なんだけど。 ジッと薫を見上げた。 薫は? 薫はそんな良い関係を築けるヒトはいるの? 過去にもいたの? 私は恋愛経験値どころか人生の経験値でさえも、世間一般と比べてとても低いんだ。
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