過去 藍墨色の夜(花音目線)

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…………。 …………………。 お互い一言二言言ったような気がする。 見つめ合う二人の空間には、緊迫感があったはずなのに、甘く、艶めいた空気が漂ってくるのが分かる。 最初のキスは触れるだけ。 でも、それだけじゃ足りないって、分かる。 絡みつくお互いの視線がどんどん色を帯びてくる。 うっわ、激しい!! イヤ、イヤ、イヤ………。 舌なんてデロンデロンに絡みついているのが分かる。 うっわ~~!! でも、これって外人さんがするから絵になるんだよね。役者さんだし。 鼻高いから、いい感じでぶつからない? あっ、でも、私も薫も高いからぶつかんないよね。 この濃厚なキスシーンをガン見してしまった。 薫………。 ここに来てまで、何故薫とのキスを想像するんだーー!! もう、本当アホだ。アホ。 何故こんな映画を選んだんだろう。 そもそも、この映画はSFアドベンチャーではなかったのか? 小山君よ。 現在の場所、小山君の家。 午前中の薫のカテキョー終わって、部活を終えた小山君と合流し、小山君の部屋で映画を観てる次第です。 でも、全然身に入らない、映画。 小山君のチョイスも微妙だけど。 心は午前中の薫のカテキョ時間に遡る。 あの『ベロチュウしよっか。』 発言から今日は散々だ。 なんで、あんな言葉を言ってしまったのか。
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