過去 藍墨色の夜 Ⅱ (花音目線)

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それは秋風が爽やかに吹く午後の庭。 「ねぇ、薫。」 「ん?」 「私さぁ、薫の側に居たい……………ずっと。」 遠回しな言い方になってしまって、チラッと薫を見た。 「ん、いいよ。」 表情も変えず、サラッと答る薫には私の遠回しの言い方は通じなかったと思う。 「あっ、もう!! 結婚するから! 薫と!!! 一生ずっと一緒! 薫の嫁は私! 分かった?」 一気にストレートに告ってしまった。 そんな私には薫は間抜け顔で。 面食らってる。 「私本気だから!!」 ダメ押しで叫ぶ。 顔引きつってるから薫。 「……ありがとう、花音。 でもね」 「早くない、決して早くないから!!」 薫の言葉に被せた。 言わんとしている事は分かるから。 でも、私は引かない! 「薫の嫁になるのはもっと先だから! でもね、待ってて!! もう私決めたの。 薫の何もかも分かってるのは私だから。 私だったら、薫の事を支える事ができる。 ちょっと経験不足の所はあるけど。 でも、ずっと一緒に寄り添っていられる。 薫だってそうでしょう?」 揺れる薫の瞳。 そんな薫を真っ直ぐ見る。 「私、もっと勉強するために、留学を決めたの。 薫に相応しい女性になって帰ってくる。 それが目標! 時間はかかるけど、待ってて。」 それまで、薫一人で頑張って。 他のおねーさんに誑かされないで。 「ねぇ、分かってくれたら。 ベロチュウして!」 迷ってる薫の事は良く分かった。 もし、受け入れてもらえなくとも、ずっと側にいるから。 例え、結婚しなくても。
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