過去 藍墨色の夜 Ⅱ (花音目線)

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「か、花音。」 呼び止められたのは、この高校での生活が最後の日、下校時だった。 正に校門を出る寸前。 部活の格好の小山君がいた。 「花音……、ごめんな。 俺、守ってやるって言ってたのに……。」 あらあらビッチと言ってたのは何処のどなたかしらとは思ったけど、 彼と会う事もこの先無いだろうと思った。 確かに恋したふわふわな感じを貰ったこともあったし。守って貰ったこともあった。 もし、あんな事が無ければもしかしたらまだ小山君に好意を抱いて付き合ってたかもしれない。 深い関係になったかは別として。 ちゃんと挨拶もしたかったから、呼び止められて良かったのかもしれない。 「ちゃんと、守って貰ってたよ。 ありがとう。 私もあの時、無神経な事言ってごめんね。 本当は恥ずかしかったんだ。 信じてもらえるかどうかは分かんないけど、 初めてだったし………。 本当にこのまま進んでいいのか推し量っていたところもある。 ごめんね。」 小山君はハッとした顔を向けた。 「本当にごめん。 自分に余裕が無かったんだ! 本当に、ちゃんと信じてあげれなくて、 本当に……。」 「いいよ? ちゃんと、小山君の事好きになって、フワフワした気持ち味わえたし。 きっとこんな経験、小山君が居なかったら出来なかったと思う。 今まで、ありがとう。」 小山君は悔しげな顔をした。 「もう、無理かな?」 でも、押しは強い小山君発言にちょっと笑った。 「そうね。 ここでの高校生活の良い思い出にしとくよ。 小山君、サッカー頑張ってね。 じゃあ。」 「やっぱり黒瀬さんの処に行くの? 彼だったら、花音をちゃんと守ってくれるから?」 そこで薫? と思って振り返った。
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