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小山君は寂しげな顔で見送ってた。
「何故、か、黒瀬さん?」
「花音が学校を少し休んでた時、
黒瀬さんに会ったんだ。
なんで守ってやるって約束したのに、
途中で、花音を信じずに約束を反故にするんだ。
って。
それでさ、ハッと気がついたんだ。
俺、一番花音の事分かってるつもりでいたのに。
あんな事があってから、実は花音は裏でいろんな事やってて、経験も豊富で、学校では大人しい仮面を被っているんじゃないだろうか、とか。
まぁ、多田さんにも吹き込まれた事もあるけど………。
色々、焦ってしまってたんだよなぁ。
でも、黒瀬さんに言われて反省した。
あの人は大人で花音の事をすごく大切にしてるんだって思った。
こんな、高校生のガキにも誠実さが伝わってきてさ。
本当、
自分が恥ずかしい。」
薫がそんな事。
「だから、黒瀬さんの処に行くのかと思って。」
やっぱ、俺じゃ無理だよな。と、眉毛を下げてかたる小山君。
だから、私もちゃんと言い切ろう。
「最終的にはそうなるように頑張るつもり。
その為の留学だから。
いつか必ず、彼により添える自分になりたい。」
真っ直ぐ、小山君を見てそう宣言した。
小山君も私を見返し、真面目な顔になった。
「………頑張って。」
そうやって、私はこの学校を去った。
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