最終便は、一つ前

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諦めて席に戻ると、女子高生が露骨に迷惑そうな顔をした。 「いい加減に諦めたら?あんた、何を言ったのさ。誰かに何か酷いことを言ったんでしょう?」 俺は、もう疲れきっていたので、事の詳細を話した。 そして、相手から地獄に堕ちればいいと言われたことを告げた。 すると、女子高生はせせら笑いながら言った。 「まあ、ここよりは地獄のほうが退屈しなくていいのかもね。」 そう言いながら、目を落とすスマホ画面には、何も映っていなかった。 俺は今日も、陰鬱な女子高生とサラリーマン、オタク青年の乗るこの陰鬱で退屈な電車に揺られている。 そして、明日も明後日も。 永遠に。 あの女と別れたことを一生後悔しつつ。
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