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さあ?どういうことだ。まあ、この男はまだ先の駅で降りるのだろうから知らなくても仕方ないか。
俺は、そう思い、また座り、次の駅のアナウンスを待った。
まあ、一駅分くらいなら歩いて帰ろう。
そう思って、はや30分が経過したが、一向に駅に着かない。
俺は焦って、もう一度、スマホから目を離さない女子高生に聞いてみた。
「ねえ、この電車って〇〇行きの最終便だよね?」
そう訪ねると、女子高生は面倒くさそうに目をスマホから上げて答えた。
「最終便は、一つ前。」
一言言うと、またすぐにスマホ画面に目を落とした。
いや、待て待て。
おかしいだろ。
最終便は、一つ前って。
じゃあ、これは何便なんだ?
「ふざけないで答えてよ。」
俺は苛立ちを滲ませた。
すると、今度は女子高生が冷笑を浮かべた。
「あんた、一体何をしたの?」
「はあ?何もしてねえし。なんだよ、お前。」
女子高生はフンと鼻を鳴らした。
「言霊にやられたのよ。世の中にはね、言霊使いが居るのよ。」
何を言っているのかさっぱりわからない。
「あんたが酷いことを言った人に、なんて言われたの?」
俺は、心当たりがあったが、憮然として言った。
「おめーには関係ねーだろ。」
「そうね、関係ないわ。じゃあ話しかけないでね。」
そう言うとすぐにスマホに目を落とした。
イライラが頂点に達した。
俺は女を無視して、隣の不潔な青年に当たった。
「なあ、どういうことだよ。何故この電車は止まらねんだよ!」
青年も面倒くさそうに、顔を上げた。
「つまり、僕たちは、酷い言葉で相手を傷つけたために、言霊を使える相手によって、封じ込められここから出られない。」
「はあ?何それw」
バカバカしい。何が言霊使いだ。
中二かよ。
いつまでも走り続ける電車。
俺は、たまらず先頭車両まで走って行き、運転席のすぐ後ろの窓を叩いた。
「何で駅で止まらねえんだよ!降ろせ、降ろせよ、このやろー。」
いくら窓を叩いても、運転士はびくとも動かないし、何も聞こえていないかのようだ。
ドアを押しても引いても開かないし、俺は無駄に体力を消耗した。
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