私立世末学園雑話録『エロ本の虫とポルノ文学少女』

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「ほら、ここの文章。淫靡と甘美を持ちあわせた描写。こんな心を打つ表現が、あなたのエロ本にあるかしら?」  挑発的に指された部分に、下卑太は視線を落とす。いかがわしい言葉と表現の羅列。が、それだけ。むしろ読者に想像を任せている分、エロ本より下等じゃないか。 「甘いな」  下卑太は対抗するかのように、自分のカバンの底から一冊のエロ本をとりだした。 「あきれたわ。まだあったの?」 「エロ本の虫なんでね」  自虐的に吐き捨て、下卑太はためらいもせず堂々とエロ本を見せびらかす。妙齢の女性が淫らなポーズで丸々一ページ支配している箇所を開く。そこに重なるように並ぶ『快楽の堕天使光臨!』『現役女子大生がぶっちゃける』『超絶三秒テクニック』などのキャッチフレーズ群。  抑えきれない下卑た笑みを漏らし、下卑太はささやく。 「ドキドキするだろ? さらに袋とじを破れば、写真つきで方法が載っている。こんなスゴイことはない」
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