私立世末学園雑話録『パワードスーツ先生』

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 リーゼント坂口が眉間にしわを作り、高畑の顔面スレスレするまで詰め寄った。高畑も負けじと胸を張り、キッと眉をつりあげる。 「ろくに規定の制服を着てこないおまえらにヒヨッコ呼ばわりされる覚えはない!」 「いや、待ってください。高畑先生、あれを」  睨みあう二人のあいだに割って入り、鎧出が指さしたのは、クルライダーズの足もと。そこには、世末学園規定の革靴があった。 「きみたちも世末学園の生徒であることを自覚してるんですね」  感涙せんばかりの震え声をだす鎧出。クルライダーズは顔を真っ赤にして怒鳴った。 「う、うっせえ! イカしてっからに決まってんだろ!」 「ママがうるさいからじゃ! ボケが!」 「……チッ!」 「さあさあ。こんなところで話しこんでないで、早く教室に行きなさい。チャイムが鳴ってしまいますよ」 「クソッ。ビビりが。覚えてやがれ」 「ママにチクってやっから!」 「……」
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