神隠れ

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「んーっ、んーっ!」 智美は年期が入って黒ずんだ麻縄で全身を緊縛され古びた日本手拭いで鼻まで覆う猿轡をされていた。智美の着せられている絣の着物も、その染めの藍の抜け加減を見ても、赤い半襟の色褪せ具合を見ても相当の時代を経たもののようだ。 蔵の中で起こったことのあらましはすでにレイから聞いていたが… それにしてもこれはいったいどうしたことだろう。監禁事件は解決したのではなかったのか? …いや、どうやらこれはレイがしたことのようだ。 智美は手を後ろ手、高手小手に縛られて胸の上下にも縄が厳重に巻かれてそれが緩まないように脇も縄で締めあげられている。 胸縄から繋いだ縄は下半身に伸び、腰から太腿を縛って膝に達している… 自由な動きが許されているのは足首だけ…智美はふらつきながら必死で身体の安定をとり立っている。 「智美ちゃん。お顔が真っ赤ですわよ?」 ユミは心配して思わずそう言ったのだか、それは更なる智美の羞恥を煽ることになったようだ。 智美はその緊縛姿のまま不自由なよちよち歩きで衆人環視の中を蔵から引き回されて来たらしい。 「この子ったら敵陣に勝手にのりこんで捕まって縛られていたのよ。情けないったらないわ。」 智美の縄尻を掴んだままのレイは冗談とも真剣ともつかない調子で言う。 「勝手なことした罰にそのまま置き去りにしてやろうかとも思ったんだけど、後で連れに来るのも大変なんでお仕置きとして縛ったままで連れて来たのよ」 と、まともに歩くこともままならない智美をソファーに向けて乱暴に突き飛ばす… ユミは昨夜からのレイの心配ぶり狼狽ぶりを見ていたので、智美の受けているお仕置きも仕方ないように思えた。 「…それはおかわいそう…しっかりお仕置きしてもらって反省なさってくださいね。…でも縛られるのが病みつきになりはしないかちょっと心配ですね。」 「うーん!!」 智美は上気した顔を一層赤くして身悶えした。 「それにしても着物に縄が映えて、智美ちゃん捕らわれの乙女姿もなかなかお似合いですわよ。」 なおも悪のりするユミ。 「ほら、智美。きちんと足を揃えて!」 連行のために一旦は解かれた足首の縄が縛り直されて行く。 足袋はだしのまま歩かされ土で穢れた足袋の上にも縄が掛けられ足首ばかりか足の甲から親指までぎっちりと縛り上げられもはや智美はたとえ立ち上がれてももう歩くことは出来ない。
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