高校生1日目

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春。 桜の花びらが舞っているこの季節は、新たな人々との新たな出会いもまた、待っているものだ。うん、我ながら上手い事を言った。桜散り始めてるけど。 「春だけど、なんか寒くなーい?」 おい、そこの女子高生。それは俺に対して言ってるのか?今年度最初のギャグだぞ。超面白いだろ。寒いのはお前らのスカートが短いからだろ。短いほうがいいけど。 とまぁ、たまたま俺のそばを通った、どこにでもいるような女子高生達にに対して、心の中で悪態づきつつ俺は学校へと登校した。   神奈川県立本厚高校は、県内でも有名な進学校だ。今日から俺はこの高校に通う高校一年生だ。 ちなみに、俺はもうちょっとで主席合格だったそうだ。まあ、本気を出せば余裕で主席だっただろう。能ある鷹は爪を隠すというやつだ。 俺は生徒昇降口の前に張り出されているクラス分けを確認し、教室へと向かった。  校舎は三階建てで、学年が上がるごとに階があがっていく仕組みらしく、俺ら一年は一階だ。この高校は普通科8クラスの他、国際教養科と理数科がそれぞれ一クラスずつある。普通科以外の二クラスは偏差値が高い。 教室の扉に張り出されている紙から自分の席を見つけ出し、扉を開けた。比較的遅く来たらしく、もうほとんどの新入生が各々の席に座っていた。しかし、皆緊張しているのか、はたまた友達が近くにいないのか、誰一人として話をしているものはいない。 おいおい、みんな静かすぎないか?緊張しているのは分かるんだけど、これじゃお通夜じゃねぇか。お通夜いったことないけど。 俺が席に着くと間もなくして、教師らしい人が入ってきた。 「皆そろっているな。これから入学式が始まるわけだが、各自身なりを整えたまえ。男子はネクタイ、女子はリボンだ。あと第一ボタンまでしっかり閉めること。」 そういうと、その教師は廊下に並ぶよう指示出し、俺たちを先導して体育館へと入場した。体育館後方では、この高校の吹奏楽部が入場曲を演奏していて、在校生もまたやかましいほどの拍手で迎えていた。俺たち新入生は各クラスごとに体育館前方に用意されているパイプ椅子に座った。全員が入場し終えると演奏が止んだ。いよいよ入学式が始まる! ここからは俺たちが主役だ!
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