高校生1日目

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「これから平成二十八年度、神奈川県立本厚高等学校入学式を挙行いたします。」 教頭先生らしい人のその言葉から入学式は始まった。 淋しい頭をした校長先生の恐ろしく長くありがたい言葉や、当たり障りのないの女子生徒会長の歓迎の言葉がおわり、続いて主席合格者様の挨拶が始まった。 よしよし、そいつの面を拝んでやろう。さて、どんなガリ勉瓶底メガネ君が出てくることやら・・・ワクワク! 「新入生宣誓。新入生代表、普通科一年三組、七峰幸太郎。」 「はい。」 そいつは返事をした後、壇上に上がっていった。そいつは端正な顔立ちの中にまだ子供っぽさが残っていた。色白だからか、右目の泣きぼくろがほんの少し目立って見える。 えー、なにこのイケメン。勝てる要素一つもねー。敗北感半端ねえんですけどー。 「本日は、私たち平成二十八年度本厚高校新入生のためにこのように盛大な入学式を催して頂き、まことにありがとうございます――。」 イケメン君の完璧な文章を聞きながら、目だけを動かし周りの生徒を見た。ふむふむ、男子も女子もレベルが高いみたいだな。ブサイク君たちばかりだと思っていたが、こちらの偏見だったというわけか。・・・泣きそう。 そんな最中、ふとある一人の新入生と目が留まった。 その新入生は女子であり、着席しているクラスの場所から国際教養科の生徒であることが伺えた。まあ、そんなことはどうでもいい。問題は彼女の容姿だ。端正な顔立ち。流れる黒髪。透き通るような白い肌。まるで絵画から抜け出してきたかのようだった。 あの子レベル高っ!他の追随を許さない美貌を持ってやがる。まあ、俺みたいなやつとは無関係か。そこそこ顔は整っているとは思うが、それは周りも同じこと。これは埋もれてしまう部分だ。・・・やっぱ、勉強頑張るわ。 俺はイケメン君の挨拶に再び意識を向けたが、頭の中ではあの子のことが気にかかっていた。
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