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気づいたら、誰も僕に気づかないと気づいた。
ああ、日本語までおかしくなってる!落ちつけ!
学校からの帰り道、電車でうたた寝をして…
降りる駅名が聞こえたから咄嗟に起きて閉まりかけた扉から飛び出した。
満員だった車内。
人混みを掻き分けた僕の手は誰にも触れないまま、すんなり降りることが出来た。
頭が真っ白になった。
今の、なに?って。
改札を出るため定期の入った鞄を見ようとしたら無い。
慌てて自分の体と、周辺をキョロキョロ見回す。
まずい。
慌てて降りた時に忘れたのかもしれない。
「すみません、鞄を電車に置いてきたみたいで…」
改札口横に居た駅員に声をかけるも、こちらを見ない。
何度話しかけても無視…
いや、まるで聞こえていないみたいだった…
瞬間。
僕の頭に浮かんだ不安。
跳ねるように振り返るとホーム階段下にあるトイレへ駆け出した。
鏡の前で息をきらせながら凝視する。
僕が、居ない…
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